最近のカンファレンスで、ビジネスがパフォーマンスを向上させるための強力な原則について改めて考えさせられました。
それが「ヤーキーズ・ドッドソンの法則」です。
この法則は1908年に遡りますが、特にEOS®を採用する企業にとって、現代でも非常に関連性が高いものです。
ヤーキーズ・ドッドソンの法則は、リーダーが組織内で「緊張感」を効果的に活用し、パフォーマンスを最大化するための重要な洞察を提供します。
ヤーキーズ・ドッドソンの法則と「緊張」をツールとして活用する
ヤーキーズ・ドッドソンの法則は、緊張(T)とパフォーマンス(P)の間に直接的な相関があることを示しています。
簡単に言うと、緊張が高まると、それに伴ってパフォーマンスも向上しますが、それには限界があります。
組織内に緊張がまったくない場合や、従業員に求めることが少ないと、パフォーマンスも低下します。
一方で、パフォーマンスに対する期待が高まると、それに伴ってパフォーマンスも向上しますが、緊張が行き過ぎるとパフォーマンスが低下し始める限界点もあります。
EOSのフレームワークでは、緊張はさまざまな方法で生まれます。
例えば、「四半期の石」の設定、週ごとのTo-Doの確認、スコアカードでの進捗追跡、コアバリューに基づく採用と解雇、定期的な「10点満点ミーティング」での結果責任の推進などが挙げられます。
これらの「Tension Tools®(緊張ツール)」は、明確な期待値を設定し、チーム全体がビジョンを達成するために一体化し集中することを目的としています。
しかし、ヤーキーズ・ドッドソンの法則が提供する貴重な洞察は、緊張は単に管理すべきものではなく、パフォーマンスを向上させるためのツールであるという点です。
チームが会社のコアバリューや石、測定可能な数字について一致していると、自然とパフォーマンスも向上します。
この高まるプレッシャーは、彼らを退屈や受け身の状態から脱却させ、ベストセラー作家でありピークパフォーマンスの専門家であるスティーブン・コトラーが言うところの「挑戦とスキルの比率における最適なポイント」へと導きます。
この状態だと人は「偉大な仕事」を追及します。
明確な目的と実行可能な目標に動機付けられている状態です。
変曲点:やりすぎは禁物
ただし、バランスを取ることが重要です。
緊張が高まるとパフォーマンスも向上しますが、行き過ぎると転換点を迎えます。
緊張が恐怖やストレスの領域に入ると、逆効果です。
過度なプレッシャーや非現実的な期待がかかると、人々は圧倒されてしまいます。
チームが「稼ぎモード」から「恐怖モード」に入ると、生産性やエンゲージメントが急激に低下し、成功を目指すよりも失敗を避けることが優先されてしまいます。
リーダーは、自分が強くプッシュしすぎていないか、組織の文化や全体的なパフォーマンスを損なうリスクを認識することが不可欠です。
恐怖と受け身の状態を避ける
「恐怖」と「受け身」という2つの機能不全な極端を避けることが大切です。
緊張が過剰になると恐怖が生まれ、ストレスで動きが取れなくなります。
一方で、緊張が不足すると、従業員は退屈を感じたり、努力なしに報酬を得られるべきだと思い込みます。
恐怖と受け身の状態はどちらも生産性を低下させ、組織のビジョン達成を妨げます。
理想的な状態は、チームが「稼ぎモード」にあることです。
この状態では、挑戦を受けて活気づき、成功へのコミットメントを維持しながら、期待の重圧に押しつぶされることはありません。
ポジティブな緊張だけが人々を受け身から脱却させます。
しかし、緊張だけでは不十分で、もう一方の必要条件がサポートです。
緊張は成果を求める形で表れ、サポートは情報やコーチング、ツールの提供という形で表れます。
リーダーはポジティブな緊張をモデル化することが求められます。
また、チームを支援し、この行動を浸透させる役割があることも理解しておく必要があります。
このことによって、リーダーを育成し、そのリーダーがさらにリーダーを育成するという流れが生まれるのです。
EOSを活用してチームを「稼ぎモード」に保つ
EOSツールは、健康的で生産的な緊張を維持するのに役立ちます。
「石」の達成への一体感は、長期目標に関する明確さと進展を提供します。
「To-Do」は、実行可能な毎週のタスクです。
一方、アカウンタビリティ・チャート®により、全員が自分の役割を理解しています。
これらのツールを使って期待値を明確に保つことで、EOSはリーダーが最適な緊張のレベルを維持するのをサポートします。
これらのツールを習得することで、従業員が恐怖や受け身の状態に陥ることなく成長し、学び、成果を上げられる環境を整えることができます。
ヤーキーズ・ドッドソンの法則は、適切に緊張を応用すれば、それが良い方向に働く可能性があることを私たちに思い出させてくれます。
それは、チームを圧倒することではなく、彼らの潜在能力を引き出すことを目指しています。
チームが偉業に挑むための力を与える
最終的な目標は、会社のビジョンやコアバリューによって動機づけられた卓越性の文化を創り出すことです。
適切なレベルの緊張によって、チームはエンゲージメントを維持し、結果責任を持ち、組織の前進にコミットし続けます。
ヤーキーズ・ドッドソンの法則の力を活用し、それをEOSフレームワークで適用することで、リーダーはチームが偉業に挑むための力を与えることができます。
これにより、組織は繁栄し、持続可能な形で成長することが可能となるのです。
あなたのビジネスでは、どのようにして適切なレベルのポジティブな緊張を生み出していますか?