中国・上海での起業、経営経験を経て横浜を拠点にEOSインプリメンター®、そしてEOS JAPANファウンダーとして活動する久能克也。結果として何度目めかの起業にチャレンジしている最中だが、実は起業家になりたかったわけではないという。
「中国で起業したのも成り行きにすぎません。たまたま人との出会いと、タイミングに恵まれただけ」
留学生として滞在した上海でたまたまニーズに気づき、多言語を操るITエンジニアに特化した人材紹介事業を始めたのを皮切りに、語学学校や貿易事業、EC支援ビジネスなどを次々と立ち上げた。
「経営はど素人。マーケティングさえ強ければ成功すると思いこんでました」
うまくいったビジネスと、うまくいかなかったビジネスがあった。その違いはなんだろう?手掛けているのはどれも自分なので、差があるとしたら参入タイミングと、協力してくれる人の違いしかない。
「とすると、成功が商品頼みか、他人任せになってしまう」と思った。でも、同じタイミングで同じビジネスに参入しても成功する企業と失敗する企業がある。市場が成熟期を迎えても生き残る企業がある。その差を分けるのが「経営」なのだと思った。
人の縁には恵まれている。たまたま出張中の東京で出席した経営者交流会でカール・パイザーに出会い、EOS®のことを知る。すぐにその完成度の高さ、全体最適のシステムであることに気づき、興味を持った。
上海の会社でEOS®を使ってみたらすぐに効果が現れた。これが日本の経営者に知られていないなんて・・・。自分がこれを日本で伝える仕事をするとしたら?でも中国のビジネスもある。社員もいる。どうやったらそれが実現できるかを考え始めた。
そして2020年。14年間を過ごした上海から完全帰国し、EOS JAPANの活動をはじめた。年末にはEOS®のバイブル『TRACTION』の邦訳も出版した。当初は日本の企業にも通用するのだろうか?という不安もあったが、今ではそれは完全に払拭されている。
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「EOSの強さはもちろんその完成されたメソッドにある。シンプルさも他に例がないと思う。でもその真の価値は、コミュニティにあると考えている」と久能は語る。
どんなに優れたメソッドでも、時間が経てば比較優位性は少しずつ失われる。これはビジネスの世界では仕方のないことだ。しかし長く強さを保っている組織は、日々の実践の中から課題を抽出し小さな「カイゼン」を続けている。そして必要があれば大きく変えることも厭わない。
EOS WORLDWIDEはまさにそのようなコミュニティだ。メソッドは年々進化している。そしてたとえばコロナ過のような危機の際はいちはやく対策の方針が示され、インプリメンター、そしてクライアントは明確な方向性のもと自分のビジネスの危機回避と、新たな成長戦略を描くことに集中することができた。
その様子を目の当たりにした久能は「このようなコミュニティを日本にも早く根付かせたい」と言う。残念ながらEOS WORLDWIDEのコミュニティの共通言語は英語だ。日本のビジネスコミュニティとそのまま接続するのは難しい。久能は、同じくEOSインプリメンターのカール・パイザーとともにEOS WORLDWIDEと日本のビジネスコミュニティとの架け橋になりたいと考えている。そしてゆくゆくは日本にも、日本語で運営される1万人規模のEOSコミュニティをつくり上げるのが目標だ。
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