会社を経営していくと、社長の交代は必ず行われます。先代の後を引き継いだ二代目社長は、成長した会社を引き継ぐことになるので先代にはない悩みを抱えてしまうことがあります。
その結果「二代目社長になったけど辞めたい」ということになってしまうかもしれません。
今回はそのような時に、どのようにしたら会社をうまく経営していけるのかを解説していきます。
二代目社長の悩みとは?
二代目社長の悩みとしてよく相談されるものが、
【経営の悩み】
借金が残っている、倒産の危機を感じている
【人間関係の悩み】
幹部や社員の退職、社員とのコミュニケーションの取り方がわからない
【メンタルの悩み】
重圧に耐えられない、悩みを相談できる人がいない
といったものです。上記のような悩みは二代目社長だけでなく、全ての経営者が持っている悩みでもあります。 しかし、二代目社長特有の悩みもあります。それは「自分は先代とは違ってダメなのではないか」というものです。
先代と二代目社長は、どちらも得意とすることは違います。先代の社長は、次世代にバトンタッチするまで経営をしてきたので、優秀であることが証明されています。そのため、二代目社長が自分と違うやり方をしようとすると不安になってしまいます。
二代目社長も「自分は先代と違う特性・個性を持っているから、違うやり方で経営をする」と心では思っていても、自信がなくなってしまうことがあります。
また、先代が社長を退いたはずなのに経営に口を出してくることをプレッシャーに感じてしまうこともあります。特に、先代と二代目が親子の場合、よりプレッシャーに感じてしまいます。
社長業を継ぐ前に起こりうる問題は想定できる
社長を引き継ぐ前にできること、するべきことは2つあります。
- 1.先代社長のいた席に自分が座るという考え方をやめる
現在、会社にいる人をどう使おうかという考え方ではなく、まずは自分がどのような組織で経営をしたいのかを考え、そこから必要な人を集めるという考え方をするべきです。とにかく、まずは「組織・構造」が先です!
偶然、先代からいた幹部や社員が自分の理想とする組織・構造の機能を果たす人であればいいですが、そうであるとは限りません。そのため、社長を引き継ぐ何年も前から自分の理想とする組織を描いて、準備をしておく必要があります。自分が現在の経営基盤を引き継いで業務を最大化するのであれば、どのような布陣・組織構造がいいのかをゼロベースで考えましょう。
- 2.自分の理想とする組織構造を考えて準備しておく
先代から社長が変わった際に、社員が辞めていってしまうなどの問題が起こる可能性もありますが、そのような問題は事前に予想ができることです。
先代の社長の魅力でついてきている社員や幹部は必ずいます。そのような人たちに自分が社長になったらどうするのかを前もって本人たちや先代に相談をすることで確認しておく必要があります。自分のビジョンと合わないと感じる幹部や社員が出てきた際には、早めに誠実な対応を取るようにしましょう。
社長を引き継いだ後に、「まさかこのようなことになるとは思っていなかった」という状況は避けるべきです。社長を引き継ぐことが決まった時に、しっかりと対策しておきましょう。対策はすぐに出来ることではないので、2〜3年ほど時間をかけてじっくりと行いましょう。
ここまでは、社長になる前にできること、するべきことについてお話ししました。
しかし、もうすでに社長になってしまった人もいると思います。 社長になってしまって今悩んでいる人にできることについてお話しします。
すでに社長になっていたとしても
- 自分が誰と経営をしたいのかを明確にする
- この人がいれば経営で成し遂げたいことが達成できるという人を連れてくる、もしくは育てる
これらのことを明確にするためにはアカウンタビリティチャートを使用することがおすすめです。無料ツールがこちらからダウンロード可能ですので、必要に応じてダウンロードしてみてください。

社長を辞めたいと思ったら
自分の理想とするお客さんに自分が提供したい商品・サービスが提供できていたら「社長を辞めたい」と思うことはないはずです。すでにあるものをそのままやろうとしていることが、「辞めたい」と考える原因になってしまっている可能性があります。
二代目社長という立場上、先代からの目や今まで受け継がれてきたものを自分も続けなければいけないというプレッシャーや義務感から自分の意思がなかなか反映しづらくなっているかもしれません。
「しなければいけない」という思い込みと、「二代目社長」という外から受ける圧力で辞めたいと追い込まれてしまっています。「しなければいけない」という状態から、経営課題を解決していくことはとても困難です。
解決策として、2種類のアプローチがあります。
- 1.今ある不満や課題を一つ一つ解決していく
- 2.自分がやりたいことを少しずつ成功させて、大きくしていく。自分についてきてくれる勢力をポジティブな形で増やしていく
この2種類のアプローチの中であったら、②の方が良い解決策です。
まずは「しなければいけない」という考えではなく、本来自分がやりたかった根底にあるものを思い描きましょう。
辞めたいと思う理由は一つではなく、複数個あると思います。それを一つ一つ潰していくことでは、現状は一向に良くならないので、まずは自分のやりたいこと、やりやすい環境を思い描くことが重要です。
障害や障壁はあるかもしれませんが、一旦それは考えず自分の理想とする姿に近づけるようにパワーを注ぎましょう。一つ一つの問題の穴を塞いでいると、そこに時間もパワーも吸い取られてしまいます。
そのため、ますは先代やすでにある経営基盤のことは考えず、自由に「自分は何がやりたいか」を考えてみてください。二代目社長だからといって、自分のやりたいことをやってはいけないというわけではありません。
人それぞれにあった経営スタイルが存在しているので、自分のやりたいことを思い描いて、小さな成功体験を積み上げて認めてもらえるようにしましょう。

優れた人で周りを囲む
自分の周りを優れた人で囲めるかどうかが、あなたが二代目社長として成功するかに繋がっています。ここで注意してほしいことが、自分にとって優れた人と聞くと「自分のことをなんでも許容してくれる人」と考えてしまいがちですが、「会社として大事にしたい価値観を共有してくれる人」という意味です。言い換えると「会社としてのコアバリューを共有してくれる人」です。
当然、社長が変わればコアバリューも変わります。社員の見直しをしていないと、以前の社長に共感する人が集まっているので、「おかしいな」とだんだん思ってしまいます。
鉄鋼王、アンドリュー・カーネギーの墓碑に刻まれている言葉は有名かと思います。
Here lies one who knew how to get around him men who were cleverer than himself.
(自分より優れたるものを自分の周りに置きし者ここに眠る)
この言葉は経営をする上で大原則となる言葉ですので、覚えてください。
EOSでは動画にしているので、正しい人を自分の周りに置くことについて、こちらの動画を見てみてください。
経営の要諦は「まずバスに乗せる人を決める」こと。そのやり方とは?
御社にとって「正しくない人」をバスから下ろす具体的な方法とは?
そして、もう一つおすすめするものは、『トラクション ビジネスの手綱を握り直す 中小企業のシンプル・イノベーション』です。この『トラクション』を読むことで企業経営における6つの最重要要素を理解することができます。トラクションとは実行力のこと。この本は単に、企業の経営責任者のためのものではありません。経営チームから全ての従業員までもを対象にしています。企業の構成員一人ひとりがビジョンを実現するために「実行」していく、そんな企業づくりのために必要な考え方とツールが詰まった一冊となっています。是非ご一読ください。