中小企業の組織図とは?小さな会社のわかりやすい役割分担票の作り方

あなたの会社は、組織図を作成していますか?

この記事では、小規模な組織が直面する特有の課題に対する解決策として「効果的な組織構造の設計方法」について具体的に説明しています。

なかなか会社が成長しないと悩んでいる経営者の方は、ぜひ中小企業におすすめの組織図の作り方を確認してみましょう。

中小企業の経営サポートを専門とし、クライアントとの経営会議を毎年500時間、累計3,000時間以上こなしてきた経営コーチ、EOS®(起業家のための経営システム)の専門家が詳しく解説します。

目次

小さな会社の組織図とは

小さな会社の組織図とは
小さな会社の組織図とは

小さな会社でも、社員数が10人以上で3階層以上の組織になると、組織図が必要とされます。

組織図は、小さな会社の内部構造を図式化し、社員の役割、責任、および階層間の関係性を明確に示すツールです。

トップマネジメントから一般の従業員まで、それぞれの階層が視覚的に表現されているため、社内の連携やコミュニケーションの流れが一目でわかり、業務の進行がスムーズになります。

また、組織図には新入社員や外部のステークホルダーが会社の構造を素早く把握するのに役立つ効果もあります。適切に作成された組織図は、業務の効率性と透明性を高め、社員同士のコミュニケーションも円滑にするため、特に小規模な組織にとって重要な役割を果たします。

中小企業が組織図を作成するメリット

中小企業が組織図を作成するメリット
中小企業が組織図を作成するメリット

中小企業が組織図を作成するメリットを確認しましょう。

メリット(1)組織全体の見える化が出来る

中小企業が組織図を作成するメリットの1つ目は、組織全体の見える化ができることです。

組織図の作成は中小企業にとって重要なプロセスです。この図を作ることで、社員は会社の構造をすぐに理解し、自分の立場と役割を把握しやすくなります。組織図によって、各従業員の業務や責任範囲が明確になるため、社内のコミュニケーションがスムーズになり、業務の効率化にもつながります。

特に小さな会社では、組織図が業務の透明性を高め、従業員の統合と協力を促進する効果が期待できます。

メリット(2)組織の指揮命令系統を明確にできる

中小企業が組織図を作成するメリットの2つ目は、組織の指揮命令系統を明確にできることです。

組織図は、小さな会社において誰が誰に報告するかを一目で示し、指揮命令系統を視覚的に理解できる重要なツールです。これにより、意思決定がスムーズになり、業務の効率も向上します。

特に、組織図を使うことで「誰が上司で、誰が部下か」という関係がはっきりとするため、従業員一人ひとりが自分の役割や責任範囲を正確に把握できます。直属の上司がマネジメントを担当する体制を整えることで、誤解や役割の重複を避けられ、他部署への指導や干渉を防ぎます。経歴や社歴の長さにかかわらず、評価の基準が明確で公平になるため、組織全体で目標達成に向けて一貫した行動がとれるようになります。

このように、指揮命令系統が明確に可視化された組織図は、社員の役割を具体的に示し、各自が安心して職務を遂行できる環境をつくります。

メリット(3)組織の業務を客観的に見られるようになる

中小企業が組織図を作成するメリットの3つ目は、組織の業務を客観的に見られるようになることです。

小さな会社において、組織図は業務の分布や部門間の関係を視覚化する役割を果たします。この図によって、どの部門にどのような業務が集中しているか、あるいは不足しているかが一目瞭然となり、業務のバランスを明確に把握できます。

また、組織図は社員にとっても、自分の役割や責任範囲を客観的に認識する助けにもなります。自分がどのチームに属し、どのような責任を持っているかが明確にわかるため、もし業務に不足がある場合には、他のメンバーから適切に指摘やサポートを受けることができます。また、業務外の問題や相談が必要な場合には、誰に相談すればよいかが明確になり、余計な誤解や不透明な評価の軸が生まれるのを防ぎ、社内の風通しが良くなります。

このように、組織図を用いることで、業務の効率化や改善が図りやすくなり、組織全体の経営効率を高めるための重要なツールとして機能します。

中小企業の経営に役立つ組織図の背景

中小企業の経営に役立つ組織図とは
中小企業の経営に役立つ組織図とは

続いては、中小企業の経営に役立つ組織図の背景を考えてみましょう。

共通の目的を持っている

中小企業の経営に役立つ組織図の1つ目の特徴は、組織図に書かれているそれぞれの部門が共通の目的を持っていることです。

経営に役立つ組織図は、企業の共通の目的やビジョンを具体的に示します。このような組織図を持つことで、社員は会社が目指す方向性を明確に理解し、自分の業務が全体の目標にどのように貢献しているかを把握できます。

組織図が示す明瞭な目標とビジョンは、社員が一丸となって効率的に働くためのガイドラインとなり、小さな会社の成長と発展に大きく貢献します。

組織の統制が取れるようになる

中小企業の経営に役立つ組織図の2つ目の特徴は、組織図によって組織の統制が取れるようになることです。

効果的な組織図は、小さな会社の統制を強化し、意思決定と運営を効率化するための重要なツールです。このような組織図によって、誰がどの業務を担当し、誰に報告するかが明確になるため、社内の混乱を避け、スムーズな業務運営が可能になります。

特に小規模な会社では、役割と責任がはっきりしていると、業務の重複や漏れを防ぎ、組織全体の効率が向上します。

適切なコミュニケーションが取れるようになる

中小企業の経営に役立つ組織図の3つ目の特徴は、適切なコミュニケーションが取れるようになることです。

良い組織図は、小さな会社において、部門間や階層間のコミュニケーションを促進する重要な役割を果たします。この図があることで、情報の流れがスムーズになり、誤解や情報の遅延を防ぐことができます。

また、社員が自分の立場や他の部門との関係性を理解できるため、業務がスムーズに進み、意思疎通が円滑になります。

特に小さな会社では、組織図が明確なコミュニケーションの道筋を提供し、業務の円滑化に大きく寄与します。

組織を動かすオペレーティングシステムが存在する

中小企業の経営に役立つ組織図の4つ目の特徴は、経営のオペレーティングシステム(OS)が存在することです。

組織図は、小さな会社において業務プロセスやシステムを視覚的に整理し、効率化を促進するツールで、経営のオペレーティングシステム(OS)としての機能を担います。この図により、会社の業務の流れやシステムの構造が明確になり、従業員がそれぞれの業務をより効果的に理解し、遂行することが可能になります。

結果として、組織図は業務の重複を防ぎ、時間の節約をもたらすと同時に、全体の生産性を向上させる効果があります。

中小企業経営に役立つ組織図の作成方法

中小企業経営に役立つ組織図の作成方法
中小企業経営に役立つ組織図の作成方法

続いては、中小企業経営に役立つ組織図の作成方法を紹介します。

組織図の作成には、ぜひ下記の資料の中にあるアカウンタビリティチャートもぜひ参考にしてください。

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※アカウンタビリティチャートは9ページ目をご覧ください。

これを使うことで、下記のことが可能になります。
・明確なビジョンの共有
・責任の明確化
・優先事項の設定
・データ主導の意思決定
・効果的な問題解決
・シンプルなプロセスの導入


手順(1)半年~1年後の未来を考える

1つ目の手順は、半年~1年後の未来を考えることです。

中小企業が組織図を作成する際には、最初に半年~1年後の未来を考え、目標設定をすることが重要です。この目標設定により、将来の組織の方向性が明確になり、それを基に適切な組織構造を考えることができます。

このプロセスは、現在の業務内容と将来の展望を結びつけ、効果的な組織運営を実現するために不可欠です。このアプローチは、組織の目標達成に向けた計画を策定する上で、大きな役割を果たします。

手順(2)組織の構造を考える

2つ目の手順は、組織の構造を考えることです。

社長が組織のトップにいるとして、そのすぐ下に配置される重要な役職を多くても3つ設けることが考えられます。この3つの役職は、各部門を統括するリーダーや、経営を支える右腕・左腕のポジションとして配置されることが多く、組織の中核を担います。ですので、下記3つの役職ともに強くなければなりません。

  1. 営業・マーケティング部門
    この部門は「事業にお客さんを連れて来る」役割を果たします。売上目標や年間計画の達成を目指し、営業活動やマーケティング戦略を展開します。また、顧客を呼び込むためのマーケティングプロセスの設計と実行が求められます。
  2. オペレーション部門
    この部門は「お客さんに価値を届ける」役割を担います。顧客サービスやプロセス管理、商品の製造やサービスの提供といった業務を通じて、顧客に対して実際の価値を届ける重要な役割を果たします。
  3. バックオフィス部門
    この部門は「利益の出やすい会社にする」ことを目的としています。売掛金や買掛金の管理、予算管理、レポート作成、人事・総務、ITサポート、オフィス管理などを通じて、組織全体の基盤を支え、効率的で持続可能なビジネス運営を可能にします。

さらに、その下には、具体的な業務を担当する社員やサポート役のスタッフの席がいくつか設けられ、部門間の業務がスムーズに連携できるような体制を築くことが望ましいです。こうした席の数や配置をしっかりと構造化することで、組織図が会社の成長に役立つ実用的なツールとなります。

手順(3)「席」に具体的な役割・責任を割り当てる

手順の3つ目は、2つ目の手順で行った組織の構造に、具体的な役割・責任を割り当てることです。それぞれの「席」に明確な役割と責任を設定することで、組織全体の機能がはっきりと見えるようになります。

まず、上記を図を使い、各席の主な役割・責任を箇条書きで5つだけ記載することで、要点をわかりやすくします。ここで意識するのは、「80:20の法則」に基づき、その席の役割の80%をカバーする、主要な20%の業務内容をまとめることです。これにより、細かい業務記述に埋もれることなく、重要な職務が明確化され、担当者も自分の責任をしっかり理解できます。

重要なことは、ここでは担当者の名前をまだ割り振らないことです。「構造が先、人が後」という考え方が重要です。

こうして、構造に役割と責任を割り当てることで、組織図が一層実用的に、さらに誰が何を担当するのかが一目でわかるようになり、組織全体の運営が効率化されます。

手順(4)席に担当者の名前を割り当てる

手順の4つ目は、3つ目の手順で作成したに担当者の名前を割り当てることです。

各席に責任を持てる適任者の名前を割り当てることで、組織図が実際の業務に即したツールとなり、社員一人ひとりが自分の役割を理解しやすくなります。構造に沿って人を配置することで、会社全体のブレイクスルーを実現する準備が整います。

繰り返しとなりますが、ここで重要なのは「構造が先、人が後」という考え方です。最初に構造をしっかり決め、それに基づいて適切な担当者を割り当てることが、組織の成長や効率化のカギとなります。人から決めてしまうと、既存の枠組みから抜け出せず、変化や成長を阻む要因になりかねません。

手順(5)組織図から経営者の名前を無くす方法を考える

手順の5つ目は、組織図から経営者の名前を徐々に無くしていく方法を考えることです。

小さな会社では組織が経営者に大きく依存しがちですが、この最終ステップは組織の自立性と成長を促すために重要です。経営者の名前が組織図から外れることで、組織は独立した運営体制を築きやすくなり、経営者は戦略的な業務に集中しやすくなります。

一つひとつ重要な席から自分の名前を消していくためには、まずその席の責任を他の社員に権限移譲し、適切な体制が整うように準備していくことが必要です。このプロセスは組織の成長や持続可能な発展に不可欠であり、経営者が「全てを自分で抱え込む状態」から脱却するための一歩となります。

まとめ

まとめ
まとめ

この記事では、小さな会社の組織図について書きました。

組織図は、中小企業にとって重要なツールであり、企業の内部構造を視覚化します。その主なメリットには、組織全体の透明性の向上、指揮命令系統の明確化、および業務の客観的な把握が含まれます。

効果的な組織図を作成することができれば、その組織図を基盤に共通の目的を反映し、組織統制を強化し、適切なコミュニケーションが取れ、組織を動かすオペレーティングシステムが存在するようになります。このように組織図をうまく使うことで、経営がうまくいくことになります。

中小企業が組織図を作成する際には、将来の目標設定、機能のリストアップ、役割の明確化、担当者の割り当て、そして経営者の名前を除外することが含まれます。

組織図は、会社の仕組み化を行う上で欠かせないツールです。もし行き詰まってしまったら、ぜひ下記の資料の中にあるアカウンタビリティチャートをぜひ参考にしてください。組織図を作成するうえで、非常に強力な味方となってくれるはずです。

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※アカウンタビリティチャートは9ページ目をご覧ください。

これを使うことで、下記のことが可能になります。
・明確なビジョンの共有
・責任の明確化
・優先事項の設定
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