幹部が辞めていく特徴と原因
幹部が会社を辞めるのにはいくつかの原因が考えられます。例えば、経営者との意見相違、コミュニケーション不足、待遇面への不満、独立などです。仕事に対して給料が見合わない金額であったり、コミュニケーション不足などによる職場環境の悪化によりストレスを抱え込んでしまったりすることもあるでしょう。正当に評価されず、ストレスばかりの会社は例え幹部の地位であっても辞める可能性は高いです。中には、売り上げや社員まで引き連れて独立してしまうケースもあります。幹部が会社を辞める原因を大きくまとめると次の2つです。
まず、カルチャーが合わなかった、もうひとつは仕事が合わなかったということです。
例えば、EOSでは「席」と表現しますが、仕事が合っていない場合は、その席がその社員にとって能力以上のことを求められていてサイズが大きすぎるのか、はたまた社員の実力に対して任せている責任が小さすぎてつまらないのかのどちらかでしょう。どちらの場合もその社員にとってぴったりの席でないと仕事が合ってないと感じてしまい、会社を辞める原因になってしまいます。
EOSツールの中にはアカウンタビリティチャートというものがあります。アカウンタビリティチャートとは組織の正しい構造を定義し、チーム全体の役割と責任を明確にするツールです。席を明確にするのにとても役立ちます。
アカウンタビリティチャートについてはこちらの動画も見てみてください。
「給料泥棒」がいなくなる?アカウンタ・ビリティチャートの実力とは
幹部が辞める会社の未来は明るくない?
経営幹部が辞めていなくても、経営者と意見がかみ合わなくなってくると従業員への影響が出てきます。 会社として大事にしたいコアバリュー(価値観)がしっかり決まっているのであれば、その対策として幹部がコアバリューを共有してくれているのかは確認する必要があります。もし、そのコアバリューを共有できていなかったとしたら、その幹部社員は辞めて当然ですし、会社として長期的に見ると辞めてくれてよかったとポジティブに捉えることができます。幹部自身はコアバリューを大事にしてくれていないのに、その幹部がいてくれないと困るということで、経営者がすごく気をつかっていたり、いびつな対応をしていたりするケースは実際よくあります。
しかし、コアバリューが共有できていなければ、早かれ遅かれ幹部社員の離職は起きるものです。幹部が辞めていく状態というのはあまり気持ちの良い状態ではありませんが、将来的に起きるのであれば今起きて良かったと思って良いでしょう。
経営者と幹部との相違があるのはよくあることです。しかし、経営者は社員に辞められると実働が困ることになるので、辞めさせたくないがために一歩引いて対応しているケースがあります。それを幹部が利用してさらに要求を通すようになるのです。 バリューを共有できておらず、また仕事も出来ないのであれば辞めさせることに悩みはないかもしれませんが、幹部は仕事ができることが多いので、なかなかそういった状態であっても辞めさせられないのが現状です。
しかし、社内でその幹部の味方となる社員がでてくると、結果的に会社が2分化してしまい、最終的に経営者とケンカ別れのような形で独立されてしまうケースもあります。会社が大きくなればなるほどダメージが大きいので早いうちに幹部とコアバリューを確認した方が良いでしょう。
なんとなく幹部と合わないと思っている場合では、コアバリューを言語化できていないことが多いです。 コアバリューとは、会社にとって不可欠で不変の指針となる理念や原理のことです。コアバリューは会社が独自に決めるものですが、数としては3〜7つくらいに止めることを推奨しています。
コアバリューが言語化されていたら、会社として大事にするコアバリューのなかで、相手のどの部分が当てはまっていないのか、当てはまっていないのであれば改善を要求する、もしくは納得できないのであれば会社を去ってもらうなどの対処ができるようになります。
では、コアバリューを言語化するためにはどうしたらいいのでしょうか?
まず、コアバリューを共有できていなかったり、社内に座る席がなかったりする人には行動を改善してもらうか、辞めてもらうかを考える必要があります。「席」についてはこちらの動画で詳しく説明しているのでぜひご覧ください。
「「人」に悩む経営者必見。iU阿部川教授も「当時知っていれば…」と言う「36時間の苦痛」とは」?」
「ビジョナリー・カンパニー2」という有名なビジネス書の第3章に「偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、はじめにバスの目的地を決め、次に旅を共にする人々を乗せる方法を取ったのではない。はじめに適切な人をバスに乗せ、不適切な人を降ろし、その後にどこに向かうかを決めている。」という文があります。人材採用を「バスに乗せる」と表現しているのです。つまり、この人たちとバスに乗りたいという正しい人(コアバリューを共有している人)を決めてから、次に目的地を決めることが大切なのです。
幹部が辞めると起きること
では、幹部が辞めると社内にどのような影響がもたらされるのでしょうか。まず可能性として考えられるのが連鎖退職です。幹部は社内でも影響の大きい人ですから、そのような人が辞めたこの会社はこの先大丈夫なのだろうかと不安に思い、次々と辞めてしまいがちです。また、社員をまとめていた幹部がいなくなることで、会社のまとまりが無くなったり、幹部を手放した社長へ非難の目が向いてしまったりすることもあります。しかし、次々と辞めてしまう連鎖はそこまで悪いものでもありません。例えば、社長が作りたいカルチャーがAだとして、幹部のカルチャーがBだとしましょう。AとBで対立していると、幹部と幹部側についていた社員は辞めてくことが予想されます。
人が辞めていくという部分ではマイナスでネガティブに見えますが、幹部と幹部側の社員が去ることで、会社としては社長のカルチャーAが強くなります。会社に残っていく人たちにとっては居心地がよくなりますし、採用も社長のカルチャーに合う人を取るようになるので長期的に見ると会社としては良いことだと言えるでしょう。
会社の幹部にまでなる人は基本的に仕事ができる人が多いので、辞められたら困りますし経営者としては落ち込むかもしれません。しかし実際は悪いことばかりでは無いのです。

強固な経営体制を作るには
会社のコアバリューを共有し、カルチャーフィットした人材で会社ができていたとしたら会社の成長に繋げることができます。では、どのように強固な経営体制を作っていけばよいのでしょうか。EOSは会社経営に必要な6つのモジュールとビジネスでの課題を解決する20のツールで構成されています。経営体制を作っていくうえでこのEOSはきっと役に立つかと思います。
また、具体的にはビジョンやバリューを共有しているメンバーで経営チームを作るのがおすすめです。それぞれが共通の認識を持つことができれば、会社全体で同じ方向を向くことができるので経営にも有利に働くでしょう。
他にも、GWCを満たした人材を選ぶことも重要です。
GWCとは、
Get it:業務のやり方や、その重要性・必然性について理解している
Want it: 仕事に対して熱意がある
Capacity:実際にその仕事をやり遂げることができる能力があるGWC
の3つのことを言います。これらを満たした人材を選ぶことで、その後会社と反りが合わなくなったり、うまく連携が取れなくなってしまったりすることを防ぐことができるでしょう。
そして、経営チームのメンバーで下記の4つの特徴を揃えることも大切です。
・インテグレーター(指導、管理や事業計画などを行う)
・営業・マーケティング(売り上げや営業、マーケティングなどに関することを行う)
・オペレーション(顧客サービスや商品の製造、サービスの提供などを行う)
・バックオフィス(予算管理や人事、オフィス管理などを行う)
まとめ
今回は幹部が辞めてしまう会社について掘り下げてお話ししました。冒頭でお話した、バスに乗せる人が合っているのか、カルチャーが合っているのかについてはPEOPLEアナライザーを使ってカルチャーフィットを確認できます。

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